秋が深まり、校門前の木々がすっかり金色の衣をまといはじめたある日、霧島クラスは、校門進入路の花壇にパンジーを植えました。
花の苗を手にした生徒たちは、まるで「次の出番は私よ!」と言わんばかりに笑うパンジーたちと真剣勝負。スコップ片手に「根っこ、まっすぐ入らん!」「こっちは葉っぱが寝ちゃう!」と、にぎやかな笑い声が秋風にのって響きます。
パンジーの花言葉は「思いやり」。通る人の心が少しでも明るくなるように——そんな願いを込めて、一株ずつ丁寧に植えました。作業を終えたあと、花壇を見つめるみんなの顔は、どこか満ち足りたようで。
「野の花がどのように育つか、よく見なさい。」(マタイによる福音書6章28節)
卒業後の姿を思いながらふと、人の目にとまらないところでも、花は静かに、与えられた場所で咲く。私たちの労作もまた、その小さな命のように、誰かの心にそっと彩りを添えるものでありたい——そう思わされた秋の日でした。
